ホヤの免疫力効果貧血予防、動脈硬化・心臓病予防。

 ホヤは原索動物の一種で、ホヤ目に属しています。日本だけでも100種類以上いると言われていますが、食用とされているものはマボヤやアカボヤなど、一部のものだけです。特に東北や北海道では一般的な食材として親しまれています。

 また、岩手から宮城に至る三陸沿岸では、養殖も行われ主産地となっており、生産量も、岩手県、宮城県、そして青森県が全国のほとんどを占めています。ちなみにアカボヤは大半が天然物で、北海道が主な産地になっています。

 そのホヤは、ビタミンEやビタミンB群、ミネラル類などの栄養素が豊富に含まれており、ビタミンの中では特にビタミンB12の含有量がかなり多いと言えます。

 ビタミンB12は、もともと悪性貧血を防ぐビタミンとして知られており、赤血球の生成を促すはたらきがあります。赤血球を作る脊髄や 胃腸の粘膜など細胞分裂の活発な組織で活躍するため、欠乏した場合は、赤血球の成熟に異常をきたす悪性貧血や、消化器官にも障害を起こすとされています。

 また、ビタミンB12にはホモシステインの血中濃度を低下させる働きがあると言われています。一般的にホモシステイン濃度が上がると動脈硬化や心臓病のリスクが高まるとされていますが、葉酸とビタミンB12を一緒に摂ると、低減効果が高まることが判明しています。

 さらに、末梢神経や中枢神経など神経系の働きにも関与しており、神経の機能の維持・改善・修復の働きがあることが分かってきたとされているため、今後の研究にも期待が高まっています。

 そのほか、ホヤには亜鉛や鉄、ナトリウムといった必須ミネラルが特に豊富に含まれています。

 亜鉛は酵素の組成に欠かせない大切なミネラルで、主な働きとしては、細胞分裂や新陳代謝、タンパク質の合成、抗酸化、アルコール分解、免疫活性化、育毛などが挙げられます。

 また、鉄も身体の全身に酸素を運ぶという大切な役割を果たしています。体内に取り入れられた鉄は、約70%が赤血球中のヘモグロビンの成分となり、残りの約25%は肝臓に貯蔵されます。このヘモグロビンには酸素を身体全体へ運ぶ重要な役割があるため、その成分となる鉄は人体にとって必要不可欠なのです。

 ナトリウムも、体内の含有量はマグネシウムとほぼ同じで微量ですが、そのほとんどが細胞外液の中に溶け込み、体液の浸透圧を維持しています。また、他のミネラルの入れ替わりを助け、カリウムとの相互作用で筋肉の収縮や神経伝達がスムーズに行えるようにサポートするという、非常に大切な役割も担っています。

 夏場の猛暑の中、多量の汗をかきすぎると、目まいやふらつき、脱水症状が起こるとされていますが、その原因の一つには、過度のナトリウム不足が関わっていると考えられます。そのため、汗をかきやすい真夏では、こまめにナトリウムを補給することが必要になります。

 ちなみに、ナトリウムが豊富に含まれているホヤは、ちょうど夏場が旬となっていますので、ナトリウム不足の解消にも一役買う食材であると言えそうです。

hoya